2013年6月5日水曜日

【20代女性のニーズ】が存在しない”ワケ”

マーケティングの分野において、自分が【売り手】になった時に、「20代女性のニーズが知りたい!」とか「20代の女性にウケルイメージで!」とか言ったり、聞いたりしてませんか?ですが、それは大きな間違いです。結論から言えばそんな”ニーズ”は存在しません。(20才~29才の子それぞれに食べ物の好みやどこにデートに行きたいか?どこに飲みに行きたいか?聞けば百聞は一見に如かずです

本来は、その前に「あなたは何を売っているのか?」(ベネフィット)を明確にした上で話すべきことですが、釘を刺す意味で、今回は「20代女性のニーズ」が存在しない理由について記事にしたいと思います。(マーケティングの基本5つの理論はコチラ

■セグメンテーション

お客様にとっての「価値」は、人それぞれ違いますよね?お客様が百人いれば百通りの「価値」を求めています。ですが、100通りの商品を作るわけにはいかないので、分けて考える必要があります。そこで、少しだけ大きな【価値】でくくったグループにするのですが、それをセグメンテーションと言い、分けられた一つ一つのグループの事をセグメントと言います。(あまり外来語は使いたくありませんが、「セグメンテーション」は良く使われるので覚えておいて損は無いと思います。

では、唐突ですが例えばあなたが、女性用の腕時計を販売するメーカーさんだとします。
これから「より若い層の女性を狙った腕時計を開発し、市場に売っていきたい!!」と思った時にどうしますか?私なら、まず時計がどのような使い方をされているか?とTPOを調査・検証します。そこの詳しい話はまた次回にしますが、ひとまず例を下記に。

具体的な例として、話の中に「お客様が求める「価値」は100通りある」。と話した通り、かなり多種多様でその全てに答えることはできません。普段どんな時計を使っているか?聞いてみると・・・・(この時、あなたが普段どんな時計をどのシーンで使っているのか?想像してみて下さい。)
  • 「常に正確な時刻を指示し、電池交換が不要な時計」
  • 「装飾が派手でパーティーなどで使いやすい時計」
  • 「時間は狂うけど、可愛くてスーツでも私服でも使いやすい自動巻きの時計」
  • 「バシっとしたスーツに似合う洗練された時計」
  • 「アクセサリー感覚で付けられる時計」
  • そもそも「腕時計はしない」
などが出てくるかもしれません。これらの意見をセグメンテーションする時に、一番良く使われるのが「年代」「性別」「年収」などの人口統計的な基準です。まるで国の統計調査のようですよね(笑)

■セグメンテーションの切り口

しかし、人口?、性別?、利用シーン、昼、夜、朝、etc・・・)でセグメンテーションするのか?が、実は最も難しい為、一番解り易い指標である人口統計的基準が、最も良く使われるのです。そこでよく出てくるのが冒頭の「20代女性のニーズが知りたい!」に繋がるのですが、本来セグメンテーションとは【ニーズが違うから分ける】行為なのに、”知らない”状態から始めることは間違いで、本末転倒です。では、なぜ「20代女性のニーズがわからない」状態になってしまうのでしょうか?

例として、「20代女性」と言った場合、20歳の遊び盛りの大学生、21歳の就活真っただ中の大学生、23歳の新社会人、25歳の会社に慣れ始めたビジネスパーソン、27歳で役職が付き始めた方、はたまた29歳の子持ち専業主婦などといった【様々な20代女性】がいます。つまり、「20代女性」という分け方ではニーズが全く違うので、わからない状態になってしまうのは当たり前なのです。

ファッションにしても、例として、20~21歳の女性はリクルートスーツが必要だろうですし、慣れ始めれば無難なスーツを、バリバリのキャリアウーマンならビシっとしたパンツスーツが欲しい、主婦なら動きやすく可愛い普段着を、とまるでニーズが違う事がわかるでしょう。(冒頭にも言っていますが、周りの女性に聞いてみると良いです

もっと言えば、20~29歳では、食事をする場所も、時間も、理由も(=TPO)違うはずです。
つまり、「20代女性のニーズ」などというものは、そもそも存在しないのです。このような分け方では求める価値の違いを捉えられず、不十分なことがわかります。

■セグメンテーション(20代女性のニーズ)のまとめ

いかがでしたでしょうか?【20代女性のニーズ】という概念が、全く存在しないわけではありませんが、”マーケティング的”には存在しない理由(ワケ)がわかりましたでしょうか?売り手側は、売るモノの価値と使われ方(ベネフィット)を明確にした上で、多様な使われ方やシーン、利用目的などにわけてセグメントしてみると良いのではないでしょうか?

今回の話は飲食店や小売などどの業態でも同様です。
例えば、飲食店を新規で立ち上げる際などでも一緒で、良く言うのが「新しいメニューなのに使われ方なんかわかるかよ・・・」と、いやいや、そんなことはありません。
重要なのは商品自体のカテゴリ分けと、ハード(立地、内装など)の使われ方、ソフト(人やモノなど)の使い方を加味して、マーケティングを行う事なのです。その上で店舗開発を行っていけば、自ずと狙う(ターゲット)お客様を呼び込む事が可能になります。

そこで、セグメンテーションのまとめとして以下のようなステップを踏む事を推奨します。詳しくはまた次回にしますが、参考までにご覧下さい。
  1. お客様の求める【価値=使い方】とTPOで分ける事!
  2. 提供する価値ではなく、お客様が実際に使う言葉で具体化する
  3. ビフォー・アフターを明確化
  4. 言葉を普遍化する
  5. 普遍化した使われ方で人をくくる
以上になりますが、人口統計的基準で分ける事を否定しているわけではありません。性別や年代などといった括り方は、この後にすると良いでしょう。問題は順番なのです。長くなりますので、詳しくは次回に致します。是非次回と合わせてお読みください。今回はこれで終わります。

0 件のコメント:

コメントを投稿